パリのハイブランドが欲しがる技術は、 なぜ東京の下町で生まれたのか ~蔵前の頑固オヤジの反骨仕事術~ 2021/9/6

中谷彰宏さん推薦
「スーツの形を崩さない世界一薄い財布を探して、
長谷川さんの財布と出会った。
ポケットに、職人の心意気を入れています」

「人と同じことはやらない」
「みんなが右を向いたら、自分は左を向いて違う路線を拓く」
「常に森羅万象に対しアンテナを向ける」
三代続く革職人の矜持とは。

「僕がブランドを作ろうと思ったその原動力には、男としての野望もあった。
僕の野望は、権力にも、財力にも向かず、ひたすら財布に向けられた。
最高品質の財布を作って、僕の技を日本に、世界にひけらかしてやると思った。
なんて平和な野望だろうか。
権力や財力だとそうはいかないが、財布づくりにいくら野望をぶつけたところで、
誰かが幸せを感じてくれるだけ。
これからも安心してそこに男の野望をぶつけていこうと思っている。
もし、その胸にたぎる野望を持て余している若者がいたら、ぜひ職人になる道を検討してみてほしい。
ものは、その思いをぶつけただけ答えてくれる。

だけど今の時代、職人という言葉が指すのは、
ものをつくる職業に限らず、エキスパート全般を指すような気もしている。
「職人だねー」は、ある種の褒め言葉だろう。

そして、これからの日本を元気にするのは間違いなくエキスパート(職人)たちだ。
この本が、あの時代に失った日本の大事なものを
もう一度取り戻すための一助になればこんなうれしいこともない」(本書「おわりに」より)